※オリキャラが出ます。苦手な方は閲覧をお控え下さい。
※ハミルト生存ルート捏造


「メルディ、早くしないと遅れるよ」

「はいなー、今行くよぅ」


隣に引っ越してきた若い新婚夫婦の奥さんに呼ばれて、メルディは急いで手作り弁当を引っ掴んでドアを出た。
隣の奥さん『エディア』は新婚3ヶ月で、最近夫の仕事の関係でアイメンにやってきたのだ。
歳はメルディよりも5つ上で、綺麗な顔立ちながら男勝りな性格の小気味良いタイプの女性だ。


「やれやれ、メルディが甲斐甲斐しいからうちの旦那まで感化されちゃって、今まで手作り弁当なんて強請ってきたことなんて無かったっていうのに」

「そんな事ないよー、カミル今まで言い出せなかっただけかもしれないな」

「有り得ないね。カミルが私に言い出せないなんて、メルディだってあの人の性格はよく知ってるでしょ」

「・・・・・・そだな。まぁエディアほど良く知らないケドな」

「まぁね」


エディアの夫は彼女にベタ惚れで、しかも彼女に対して何でもかんでも包み隠さずに話してしまう人だった。
自分が彼女にして欲しいこと、反対に彼女が自分に対してして欲しい事など何でも話して、話して欲しいというタイプの人なのだ。
そんな彼をほんの1ヶ月とはいえ見ていたメルディは、確かに彼がそれを言い出せなかったとはとても思えなかった。


「良く分かってるっちゃあメルディだってそうじゃない?旦那のことよ~~く分かってるじゃないの」

「メルディとハミルトは付き合い長いからな。メルディがちっちゃいちっちゃい頃から一緒よ」

「それを抜きにしたって夫婦としてはとても新婚に見えないわよね。だってまだ1ヶ月半だっけ?それにしちゃあもう熟年夫婦っていうか、年期入ってる感じすんのよね」

「そかなー」

「良い事なんじゃないの?こうして手作り弁当を届けてあげて、お礼のキスを貰って、ほんで新婚らしくやる事はやってるんだろうし~」

「バイバ!!」


ニヤニヤ笑う彼女に、メルディは顔を真っ赤にして叫び声を上げてしまった。


「おっ、と、予想以上に大きな叫び声が出たわね。こりゃ旦那が飛んで来るな」

「何言うのか~」


真っ赤に染まってかなりの熱を持った頬を押さえると、メルディは心臓を落ち着けようとその場にしゃがみ込んだ。
そんな彼女の横で、エディアは眉を潜めて顎を摩りながらブツブツ言っている。


「エディアー?」


ようやく熱の引いた頬を摩りつつブツブツ言っている彼女の名前を呼ぶと、名前を呼ばれた本人は今度はキョロキョロと辺りを見回し始める。
そしてある一点を目を細めて見つめると、次の瞬間


「来たっ!!!」


そう叫んでメルディの後ろに隠れてしまった。


「な、なにか?」

「いいから。隠してて、つーか私が変なこと言ったから叫んだとか言わないでね」

「はいな・・・・・・」



ダダダダダダダダダ



「メルディー!!!」

「ハミルト?」


彼女が見詰めていた先からやって来たのは自分の夫、つまりハミルトであった。
しかも凄い勢い、物凄い形相で走ってくる。


「なんだ?今の悲鳴、何かあったのか?!」

「やっぱり、地獄耳にも程があるってのよ」


背後に隠れているエディアが、メルディの耳にしか聞こえないように呟いた。


「メルディ、さっき叫び声上げてたろ?何かあったのか?怪我とかしてないか?大丈夫なのか?」


ガッシリと妻の肩を掴んで彼女の顔や体に傷が無いか調べると、今度はギュウッと胸に抱きながら彼女に確認をとる。


「ダイジョブだよー。メルディ元気、ピンピンよー」

「本当か?じゃああの悲鳴は何だったんだ」

「んー?ちょっと躓いて転びそうになっただけよ。心配いらないな」

「まぁ、怪我もなさそうだし、でも気をつけるんだぞ?何かあったら大変だ」


抱きしめている妻を更にギュウ~っと強い力で自分に引き寄せると、やっと安心したようにその腕の力を緩めた。


「ハミルト、あんたどんだけメルディの事が好きなのよ」


隠れるものがなくなってしまい、しかもハミルトの眼中に全く入っていない事に気付いたエディアは呆れながら言った。
結婚したての夫婦とはいえ、少しメルディに対する愛情が深すぎやしないか?
彼女の瞳はそう言っている。


「うるさい。色々あったんだ、この幸せが永遠に続くためなら過敏にもなる」

「あ、そー。勝手にやってて頂戴」

「メルディ、本当に何もないんだな?」


ひらひらと手を振るエディアを再び無視して、ハミルトはメルディを上から下までまじまじと眺めて確認する。


「はいな。ダイジョブだよー」

「何かあった時は必ずエラーラで連絡するんだぞ」

「ハミルト心配し過ぎだよー、またリッド達にからかわれるな」

「良いんだよ、メルディが1番大切だ。メルディに何かあったら生きていけない」

「ありがとな」


キュウッとお互いを抱きしめあって、密着した体を確かめるように微笑んだ。


「あの~、そろそろ良いかな?皆見てるし。昼食の時間だし」

「!!!!!!」

「熱い熱い。見てるこっちが恥ずかしくなるっつ~の」

「あのハミルトがねぇ、」

「メルディを嫁にしたからっていい気になってんじゃねーぞ!メルディを泣かすような事があったらそん時は俺が掻っ攫って行くかんな!!」

「若いって良いねぇ」

「チューの1つでもしたんさい」


いつの間にやら自分達の周りには黒山の人だかりが出来ていた。
抱きしめ合う自分達をグルッと囲むようにして、野次馬達が好き勝手なことを言っている。


「バイバ!!」

「な・・・・・・」

「あんた達がいけないのよ~、お昼時だっていうのにこんなトコで抱き合ったりして。私のせいじゃ無いからね」


野次馬達に紛れ込んで、遠くからエディアの声がした。


「さぁさ皆さん、あそこのバカップルは放っておいて、私達は昼食にしましょ」


パンパンと両手を合わせて声をかけると、その声につられてゾロゾロと人込みが動き出す。
呆けたままでそれを眺めていた2人だったが、周りに人がいなくなるとやっと我にかえったようだった。


「ご、ごめん」

「は、はいな。気にしない」


顔を真っ赤にして、お互いの顔を見詰め直す。
抱きしめていた腕の力を緩めると自分達も昼食を摂らねばとそそくさと歩き出した。


「ごめんなメルディ、あんな事になって」


昼食の定位置へと歩きながら、未だに真っ赤な顔を押さえて再び謝る。
そんな彼がなんだか可愛くて、メルディは先程とは違う頬の赤みを押さえながら彼の腕に自分の腕を回して言った。


「メルディ、ハミルトにギュウッてしてもらうはとても好きだよ」


そんな可愛い事を言うメルディが愛しくて、ハミルトが真っ赤になって彼女を抱きしめたのは言うまでもないだろう。


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